将棋初段取得のための対振り持久戦(端玉銀冠)
こんにちは。居飛車党のエバンスです。
持久戦と端玉銀冠のセットを、対振り飛車のメインに据えて、将棋ウォーズ初段(10分切れ負け)を獲得しました。その際の経験を基に、対振持久戦における端玉銀冠のメリットを書きたいと思います。
対振り持久戦
対振り持久戦とは、相手が振り飛車を採用してきた場合に、居飛車側が持久戦に持ち込む戦法です。 玉の守りを手厚くすることによって、途中劣勢の将棋であっても、攻め合いに持ち込めば最終的に逆転しやすい、というメリットがあるように思います。
囲いについては、穴熊囲いに組むのが一般的ですが、私自身は「端玉銀冠」を多く採用しています。初段獲得時、端玉銀冠での勝率は7割ありました。(現在は6割7分です。レーティングは正確ですね。。)
端玉銀冠の組み方
端玉銀冠は手数はかかりますが、それ以上の発展形が存在しない非常に強固な囲いの一つです。 相手が振り飛車であることがわかったら、まずは「船囲い」に組み、その後「天守閣美濃」に発展させます。そこから玉を9八に移動させ、銀を8七に、金を7八に動かし、「端玉銀冠」の完成となります。
「天守閣美濃」の組み方は、日本将棋連盟(!)のコラムに譲ります。 (↓のコラムでは単に「左美濃」と表記されています。)
四間飛車相手に「端玉銀冠」に組んだ際は、こんな感じになるはずです。
また、余裕がある場合には、右の金を6八に移動させて、将来の相手からの6九銀(割り打ちの銀)のキズを消しておくと、より攻めに専念することができます。
端玉銀冠のメリット
端玉銀冠のメリットは以下の3つです。
- 王手飛車取りの筋がない
- 居飛車で船囲いからの急戦を選択すると、いつも悩まされるのが相手の駒台にある角の存在です。端玉銀冠は玉のコビン(斜め上)を銀が守っており、また、自玉は王手のかからない9八にいます。相手の角打ちにおびえることはありません。
- 横からの攻めにめっぽう強い
- 横からの攻めにとても強い端玉銀冠は、振り飛車に駒を捌かれ、飛車や角をこちらの陣に撃ち込まれても簡単には攻略されません。特に、相手陣に打ち込んだ自分の角を馬にしつつ8八の地点に引ければ、相手はどこから攻めてよいのかわからない状態になるはずです。
- 相手が対策を知らない
- 優秀な端玉銀冠ですが、後述する弱点(8筋が弱い)は存在します。しかし、級位者が何も知らない状態から8筋を機敏に攻めてくることはほとんどありません。マイナーな囲いの良いところは、相手が情報を持っていないことです。
あとは攻めるだけの簡単なお仕事です。勝率7割も夢ではありません。
対振り持久戦における居飛車の攻め方
基本的には飛車と銀で相手の3筋を攻めていくことになります。
↓の図からは、3五歩→同歩→4六銀、と相手の歩の狙いつつ銀を前進させていきましょう。
これに対して相手が
- 3六歩と歩を突いてくる
- 飛車を2六に移動し、次の歩とりを狙いつつ、相手の3筋(角頭)を銀と飛車で攻めていきます。
- 3四銀と歩を守りにくる
- 飛車を3八に移動し、次に銀で歩をとりながら、銀交換を狙います。こちらの守りは固いので、銀交換は望むところです。
- 4筋の歩を突いて角道を開ける
- 自分から角交換をして、自玉の位置は9八をキープしてください。角交換の後、とられそうになっている銀を5七に引いて飛車単独で飛車先突破を狙っていくか、強く3五と出て銀を攻め加えていくことになります。
いずれの筋でも実現できれば中盤は有意に進めることができると思います。
気を付けること
優秀な対振り持久戦・端玉銀冠のセットですが、一つだけ注意する筋があります。相手から8筋を効果的に攻撃されることです。そのパターンの初動が、早い時点での5四歩です。
- 5四歩が早い場合
- 端玉銀冠の弱点である8筋を効果的に攻撃するために、5四歩を早めに突き、将来的に3三の角を4二に引き、8筋攻撃に参加させてきます。こうなると一気にこちらが壊滅する恐れがあるので、相手が5四歩を入れてくる場合には、穴熊など別の囲いを目指した方が勝ちやすいと思います。
まとめ
自身の経験から対振り持久戦において端玉銀冠がオススメしてみました。初段獲得までは、対振り飛車の戦法は、端玉銀冠に任せて問題ないと思います。是非お試しください!